子どもが発熱すると、「もしけいれんが起きたらどうしよう…」と不安になりませんか。
目の前で子どもが意識を失ったり、けいれんすると保育園看護師の私でも怖くなります。
熱性けいれんは聞いたことがあっても、実際にみたことはないという人も多いのではないでしょうか。
- 熱性けいれんってなに?
- 熱性けいれんが起こったらどうしたらいいの?
熱性けいれんは小さな子どもに多いので、インフルエンザなどで熱がでると心配になりますよね。
- 熱性けいれんは急な発熱によって起こるもの
- けいれん以外にも意識消失などざまざまな症状
- 発症した場合の対応方法について
事前に知識があれば、もし実際に起こったとしても安心して対応することができますね。
保育園看護師が熱性けいれんについて解説します。
子どもの熱性けいれんとは?原因・症状・起こりやすい年齢

熱性けいれんは生後6か月~5歳くらいの子どもが、急な発熱により意識障害や、けいれんを引き起こす病気です。
ひきつけと呼ばれることもありますよね。
日本では5%以上の子どもが熱性けいれんを起こします。
ほどんどの場合が、繰り返すことなく1回きりで終わりますが、中には、何度も熱性けいれんをおこしたりする子どももいます。
熱性けいれんはなぜ起こるのでしょうか?
原因や症状について詳しく見ていきましょう。
熱性けいれんの原因は?
小さな子どもは、脳神経細胞が成長途中にあるため、急な体温の変化に対応できずに、けいれんや意識障害が起こります。
体温が急上昇する病気としては、風邪やインフルエンザ、突発性発疹などがあります。
このような感染症にかかった場合に、体温が急上昇しけいれんの引き金になると考えられています。
熱性けいれんの症状
熱性けいれんの症状はけいれんだけではありません!!
- 両手足をかたく突っ張った後に、ガタガタとふるわせる
- 意識がなくなる
- 白目をむく
- 目の焦点が合わない
- 唇や指先が紫色になる
- 嘔吐や失禁
- 名前を呼んでも反応がない
- 全身が脱力する
- 不規則な呼吸
けいれんと聞くと、ガタガタと全身が震えるイメージですが、脱力や意識障害なども熱性けいれんの症状なんです。
急な発熱時にこのような症状があれば、熱性けいれんを疑い落ち着いて対応する必要があります。
熱性けいれんとてんかんの違いは?
熱性けいれんとてんかんは、同じような症状がありますが違うものなんです。
てんかんとは…
脳の電気信号が乱れることで起こる脳の病気です。
原因は生まれつきの脳障害、脳出血、外傷など様々です。
熱性けいれんは、急な発熱によって起こるものですが、てんかんは脳の病気によって起こります。
違いについて表にまとめてみました。
| 項目 | 熱性けいれん | てんかん |
|---|---|---|
| 発症のきっかけ | 発熱(38℃以上) | なし(熱とは関係なく起こる) |
| 起こる年齢 | 6か月〜5歳 | 年齢に関係なく起こる |
| 発作の傾向 | 多くが1回〜数回で自然に治る | 繰り返し発作が起こる |
| 治療 | 原因(発熱など)の対処 | 抗てんかん薬など継続治療 |
熱性けいれんとてんかんは違うものになります。
熱性けいれんを起こした子どものほとんどが、てんかんを発症しないとガイドラインにも記載されています。
なので、てんかんを発症したらどうしようと過剰に心配する必要はありません。
熱性けいれんの対処法|救急車や受診の目安

急な発熱の時に初めてけいれんを起こした場合は、まず安全確保をして救急車を呼びましょう。
熱性けいれんであれば、短時間で治まる場合も多いので、落ち着いて対応することが重要です。
大人がとるべき対応や、救急車が必要な場合、やってはいけない対応について紹介します。
熱性けいれんの対応方法
熱性けいれんを起こした場合は、安全を確保しながら、注意深く観察することが大切です。
- ①安全を確保する
-
机や椅子がある場合や、危険なものが近くにある場合は避けましょう。
急なけいれんで驚くかもしれませんが、落ち着いて安全を確保しましょう。
- ②楽な体勢をとる(回復体位)
-
横向きに寝かせることで、万が一嘔吐した場合にも窒息を予防することができます。
体に力が入ってこわばってしまうことも多いため、首や腹部の衣服を緩めましょう。
- ③様子を観察する
-
どんな様子か観察しましょう。
焦っている状況の中で、すべてを記憶したり記録するのは難しいです。
手元に携帯電話があれば動画で撮影しましょう。
初めての場合は、動揺して焦ってしまうこともあると思います。
まずは見ている大人が落ち着いて対応することが大切です。
間違った対応についても覚えておくと安心ですよ。
熱性けいれんの対応でやってはいけないこと
×揺さぶったり大きな声で名前を読んだりしない
×口の中にものをいれない
×水や食べ物を口にいれない
昔はけいれんを起こしたら、舌を嚙まないようにタオルを詰めるという対応をしていたようです。
しかし、無理に口にものをいれることで噛まれたり、歯が欠けてしまうこともあります。
また、息ができなくなってしまう可能性もあるため、絶対にやってはいけません。
救急車を呼ぶポイント
初めての熱性けいれんであれば、救急車を呼んで病院に行くことをおすすめします。
また、次のような場合も救急車を呼びましょう。
- けいれんが5分以上続く場合
- けいれんが治まっても意識が戻らない、またはぐったりしている場合
- 熱を伴わないけいれんの場合
- 体の片側だけがけいれんしている場合
- 1日に2回以上けいれんする場合
これまでに熱性けいれんを起こしたことがあり、すぐに症状が治まった場合は慌てず病院に電話しましょう。
救急車を呼ぶべきなのか、自家用車で病院に行くか、どこを受診するかなど判断に迷う場合は、#7119も活用しましょう。
けいれんが治まったから安心という訳ではない場合もあります。
なぜ病院に行かなければいけないの?
すぐに治まったなら病院に行く必要はないのでは?
発熱のときにけいれんを起こすのは、熱性けいれんだけではありません。
髄膜炎や脳炎など、怖い病気にかかっていないか調べるためにも、病院に行く必要があります。
脳炎や髄膜炎でも発熱やけいれんを起こす場合があります。
医師の診察を受けて正しく検査しなければ、怖い病気があるのか、急な発熱による熱性けいれんなのか判断できません。
熱性けいれんだろうと判断して治療が遅れてしまうと、命に関わる病気の発見が遅れてしまうかもしれません。
怖い病気にかかっていないかどうか調べるためにも、必ず病院に相談してくださいね。
症状が治まったら
けいれんが止まっても、大きな声で呼びかけて体を揺さぶったりしないでください。
けいれんが止まっても、
まとめ

- 熱性けいれんは6か月~5歳くらいの子どもに多い
- 急な発熱により意識障害や、けいれんを引き起こす病気
- 症状はけいれんだけではなく、意識がない、目の焦点があわないなどがある
- 熱性けいれんの症状が起こったら、落ち着いて安全を確保し、体を横向きにして見守る
- 症状の観察が難しい場合は、携帯で動画をとるとよい
- 初めてのけいれんや、5分以上けいれんが続く場合は救急車をよんで病院に行きましょう
熱性けいれんは珍しいものではなく、どの子どもも発症する可能性があるものです。
正しい知識を身に付け、落ち着いて対応できるようにしましょう。
