夏になると保育園や幼稚園でよく流行する「手足口病」を知っていますか?
名前は聞いたことがあっても、どんな病気なのかよく知らないという場合もあると思います。
- 手足口病はどんなもの?
- どんな症状がでるの?
- 手足口病になったらいつから保育園に復帰できるの?
- 手足口病になったらどんなことに気を付けたらいいの
手足口病は小さい子に多い病気ですが、熱がでたり発疹をみたら不安になってしまいますよね。
- 手足口病はウイルス感染により発疹や水泡ができる病気
- 熱が下がって食事ができていれば保育園に復帰することが可能な場合が多い
- 自宅でできる手足口病のケアについて
- 手足口病についてよくある質問と答え
現役保育園看護師の目線でわかりやすく解説します。
これを読めば、手足口病についてしっかり理解でき、安心して対応できるようになりますよ。
手足口病の症状は発疹だけじゃない!原因はウイルスによるもの

手足口病は名前の通り、手のひら・足の裏・口の中に水泡や発疹がでる病気です。
子どもに多い感染症で、とくに1~5歳に多くみられ、6月から9月に流行のピークを迎えます。
手足口病の原因と潜伏期間
手足口病の原因はウイルスによる感染です。
| 原因ウイルス | 主な特徴 |
|---|---|
| コクサッキーウイルスA16型 | 多くは軽症で自然回復 |
| エンテロウイルス71型 | まれに重症化(髄膜炎など)することも |
感染経路は3つありあります。
- 飛沫感染(咳・くしゃみ)
- 接触感染(皮膚・おもちゃ・ドアノブなど)
- 糞口感染(おむつ交換後の手洗い不足など)
潜伏期間やウイルスが排出される期間はこちらになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 潜伏期間 | 3~5日 |
| 症状が出ている期間 | 3~7日程度 |
| ウイルスの排出期間 | 口からは1週間前後、便からは2〜4週間 |
症状が治まってからもウイルスはしばらく体内に残っており、排出されているとはびっくりしますよね。
便からは1か月ほどウイルスが排出される場合があるので、おむつ交換の後は丁寧に手洗いをすることも大切です。
また、タオルの共用を避けて感染予防をする必要があります。
感染症の予防として消毒液を使うこともあると思います。
小さい子どもがいる場所で、アルコールなどの強い消毒液を使うのをためらってしまうこともあると思います。
そんなあなたには、次亜塩素酸水の消毒液「キエルキン」もおすすめです。

手足口病の症状
手足口病の代表的な症状は、発疹や水泡ですが、その他にも様々な症状があります。
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 発熱 | 38℃前後の微熱〜中等度 |
| 口内炎 | 舌や口内に小さな水ぶくれ(痛みが強く、食事困難に) |
| 発疹 | 手のひら・足の裏・膝・おしりに水疱や赤い発疹 |
| 食欲不振 | 口の痛みで食べ物や水分がとれないことも |
食事や水分が取れていて、元気があれば手足口病は大きな心配はないでしょう。
食事や水分がとれず、尿回数が減る、元気がないような場合には脱水症状が疑われるので、医療機関の受診が必要です。
子どもの感染症で心配になるのは、合併症ではないでしょうか。
| 合併症の種類 | 症状・兆候 | 注意ポイント |
|---|---|---|
| 脱水症状 | ・尿の回数が減る・唇が乾く・ぐったりしている | 口内炎の痛みで水分がとれず進行しやすい。早めの受診を |
| 髄膜炎・脳炎 | ・激しい頭痛・吐き気や嘔吐・高熱が続く・意識がもうろうとする | エンテロウイルス71型でまれに発生。重症化リスクあり |
| 無菌性髄膜炎 | ・首の後ろが硬い・光をまぶしがる・発熱+ぐったり | 急に症状が変化した場合は救急受診を検討 |
| とびひ(二次感染) | ・発疹を掻きこわして膿が出る・赤くただれる | 掻きむしりによる細菌感染。抗菌薬が必要になることも |
| 爪の脱落(爪甲脱落症) | ・感染後1〜2ヶ月で爪がはがれる | 一時的なもので自然に治癒することが多い。心配は少ない |
急にぐったりしてきた、呼びかけに反応しない、高熱が長引くといった場合には、迷わずすぐに医療機関を受診しましょう!
手足口病の症状の経過は?登園基準について

手足口病は学校保健安全法に基づく出席停止対象ではないため、明確な登園禁止期間は設けられていません。
ただし、保育園の多くは登園可能な条件として次のようなものをあげています。
登園可能な条件
- 発熱がない
- 食事・水分がとれている
- 元気があり期限がよい
- 発疹に痛みやかゆみがない
このように普段通りの生活を送ることができるようになれば、発疹が残っていても保育園に行くことは可能な場合が多いです。
こんなときは登園NG
- 38度以上の発熱
- 水分がとれず脱水の可能性がある
- ぐったりしている
- 発疹が広範囲で、かゆみや痛みが強い
元気そうだけど登園させて大丈夫かな?と迷ったときは、登園前に保育園までご相談ください!一緒に考えますよ。
一番困ってしまうのは、あいまいな状態のまま黙っていることです。
調子がよくないかもしれないと分かっていれば、子どもに無理させることがないように気をつけたり、様子をよく観察したりできます。
心配なことがあれば、保育園の看護師や担任の保育士に相談しましょう。
手足口病の症状を和らげる自宅でできるケアについて

口の中の発疹や水泡で痛みが強いときは、食事がすすまず脱水症状を起こす可能性があります。
少しでも楽に療養することができるように、ママにできることがたくさんあるんですよ。
自宅でできる看病について少し紹介しますね。
手足口病のときにおすすめの食べ物・飲み物
おすすめの飲み物
- 経口補水液(OS-1など)
- 麦茶や白湯
- 冷たいゼリー飲料
- 薄めたりんごジュース
❌NG例:オレンジジュースや炭酸飲料は、口内炎にしみて痛みが増すことがあります。
温度が高すぎる食べ物や、辛い物は避けて食べやすいものにしましょう。
生活で気を付けること
食べ物以外でも気を付けておきたいことはたくさんあります。
その中でも特に大切な3点を紹介します。
- 爪を短く切っておく
水泡を搔き壊すと、とびひの原因になってしまうこともあります。
二次感染防止のためにも、爪を切って皮膚が傷つかないようにしましょう。
- タオルの共用を避ける
家族でバスタオルや手を拭くタオルを共有している家庭もあるのではないでしょうか。
手足口病のウイルスが家族に広がってしまうこともあるので、手足口病の発疹や水泡がある間はやめておきましょう。
- こまめに手を洗う
手足口病になった子どもも、一緒に住んでいる家族もみんなで手洗いを心がけましょう。
石鹸で手洗いをすることで感染拡大を防止できます。
発疹により手のひらが痛い場合もあります。
強い力でこすらず、泡を使いながら丁寧に手を洗うといいですよ。
手足口病でよくある質問について看護師が解説!

- 熱が下がったけど、発疹が残っているときは登園してもいいですか?
-
はい!登園可能な場合が多いです。登園の基準については、保育園毎に基準があるため、事前に保育園にご相談しましょう。
・発熱がない
・水分や食事がとれている
・活気がありよく遊んでいる
このような場合は登園OKとなる場合が多いです。
- 大人もかかるの?
-
はい、免疫のない大人も感染することがあります。特に妊婦さんや高齢者は要注意です。子どもが手足口病にかかった場合は、タオルの共用を避けたり、手洗いの徹底など家庭内感染の対策を心がけましょう。
- 何度もかかることはある?
-
あります。手足口病のウイルスは複数あるため、型が違えば再感染の可能性があります。1回かかったからと油断せず、流行時は注意しましょう。
- 手足口病を治す特効薬はあるの?
-
特効薬はなく対症療法が中心です。
熱が高いときは解熱剤、発疹や水泡の痛みが強ければ痛み止めなど症状に合わせた薬を使いながら治るのを待ちます。ぐったりしている、水分が取れない、高熱が下がらない場合は再度医療機関を受診してください。
まとめ

- 手足口病はウイルス感染によっておこる病気で、手・足・口に発疹ができるのが特徴
- 口の中の痛みで水分がとれず、脱水症状を起こすこともある
- 手足口病のときは、経口補水液や麦茶をとるようにするとよい
- 手足口病は子どもだけではなく、大人でも感染することがある
手足口病はきちんと対応すれば、数日で自然によくなる場合が多いです。
家庭でのケアを行い、子どもが安心して療養できる環境を整えましょう。
