子どもがインフルエンザ脳症に!? 命を守る知識を保育園看護師が解説

インフルエンザは、毎年多くの人がかかる身近な感染症です。

多くの場合は数日でよくなりますが、稀に命に関わる重い合併症を引き起こすことがあるんです。

そのひとつが「インフルエンザ脳症」です。

意識障害やけいれんなどが出現し、短時間で症状が進行することもあります。

インフルエンザ脳症は、早期に発見し治療を開始することがとても大切です。

「いつもと違う様子」に早く気づけるかどうかが、命や予後を左右することも少なくありません。

この記事からわかること
  • インフルエンザ脳症とはなにか、メカニズムや症状
  • インフルエンザ脳症の治療法や後遺症について
  • 発症予防や重症化予防について

インフルエンザ脳症について、保育園看護師が解説します。

他のインフルエンザに関する記事とあわせてご覧ください。

目次

インフルエンザ脳症とは?原因や症状について解説

インフルエンザで高熱が出ているときに、意識障害やけいれんを起こすインフルエンザ脳症というものがあります。

病状によっては、命に関わるので早期発見と早期治療が必要になります。

どのようなメカニズムで発症するのでしょうか。

脳症についてや、よくみられる症状について、保育園看護師が解説します!

発症の仕組み・メカニズム

インフルエンザ脳症は、免疫の暴走によって起こる脳の障害です。

インフルエンザウイルスが脳に侵入しておこる、脳炎とは少し違うものなんですよ。

①インフルエンザウイルスに感染

②免疫反応の活性化(サイトカインストーム)

③サイトカインという物質が大量に作られる

④脳浮腫や脳細胞の障害が起きる(脳が腫れる)

⑤けいれんや意識障害、悪化すると呼吸が停止

ウイルス自体が脳に侵入して起こるわけではなく、免疫の過剰反応により起こる病気なんです。

免疫やサイトカインなど、聞きなれない言葉が多くて難しいですよね。

詳しい内容を覚える必要はありません。

脳症は、免疫反応が未熟な子どもに起こりやすいですが、まれに大人が発症することもあります。

インフルエンザ脳症が子どもに多いのはなぜ?
  • 免疫が未熟であり、身体がウイルスと戦うとき、反応が強く出すぎてしまうことがある。
  • 脳が発達途中であり、ほんの少しの異常でも症状が出やすい。
  • 大人より体温調節が未熟で、急な高熱をきっかけに悪化しやすい。

注意すべき症状

インフルエンザウイルスの主な症状は、高熱・けいれん・意識障害があります。

脳症は、インフルエンザ発症後数時間で悪化することもあり、早期発見が大切になります。

\こんな症状に注意!!/

  • 意識がもうろうとしている
  • 返事が曖昧・呼んでも反応しない
  • 意味不明な行動・異常言動
  • けいれんを起こす
  • ずっと眠ってしまい起きない
  • 嘔吐が続く
  • 顔色が悪い

このような場合は、すぐに病院へ行きましょう。

けいれんが止まらない、呼びかけに反応がない場合は、救急車を呼んで病院に行きましょう。

インフルエンザになっても、脳症を発症するのは少数です。

一般的なインフルエンザの症状や看病については、こちらをご覧ください!

インフルエンザ脳症の治療方法と後遺症

インフルエンザ脳症は、命に関わる状態であるため、入院して治療することになります。

病状によっては、集中治療室など、高度医療の環境が整ったところで治療を受けます。

発症から数時間〜1日のあいだに急激に悪化することがあるので、早く受診し治療を開始することが重要です。

治療では、「命を守る」「脳を守る」「後遺症を減らす」の3つを柱に、非常に集中的な対応が行われます。

けいれんを抑える治療

インフルエンザ脳症は、長くけいれんが続くことで気付く場合が多いです。

まずは、長く続くけいれんを止める必要があります。

長く続いたり、短時間でけいれんを繰り返す場合を、けいれん重積状態といい早急な治療が必要です。

点滴でけいれんを止める薬を投与して治療します。

けいれんを止める薬を使うと、呼吸が弱まったり、止まったりすることがあります。

そのため、呼吸状態や全身の状態を確認しながら、身長に薬剤を投与することになります。

インフルエンザウイルスに対する治療

インフルエンザ脳症は、免疫の過剰反応によって起こっており、ウイルスが直接脳を攻撃しているわけではありません。

点滴でインフルエンザの治療も行います。

しかし、抗ウイルス薬を使用することで、インフルエンザの悪化を予防することに繋がります。

はやく熱が下がるだけでも、体へのダメージを減らすことができます。

過剰な免疫を抑える・炎症を改善する

インフルエンザ農相では、「サイトカイン」という炎症物質を大量に放出します。

これを サイトカインストーム(サイトカインの暴走) といいます。

サイトカインストーム(サイトカインの暴走)が起こるとどうなる?
  • 血管が拡張して血圧が下がる
  • 脳の血管の壁を傷め、脳がむくむ(脳浮腫)
  • 多臓器に障害が起こる

この炎症を抑えない限り、脳症は悪化しやすくなるため、炎症のコントロールがとても重要になります。

過剰な免疫を抑え、炎症を改善させる治療には、ステロイドの大量投与や免疫グロブリン療法を行います。

脳の浮腫(むくみ)を抑える治療

インフルエンザ脳症では、脳のむくみ(脳浮腫)が起こることがあります。

脳のむくみで腫れてしまうと、意識障害や呼吸状態の悪化につながります。

薬を使って脳のむくみを抑えたり、水分量の管理を行い管理していきます。

体温のコントロールも行い、熱を下げ過ぎないようにしつつ、体温が上がりすぎないよう調整します。

呼吸や循環をサポートする治療

インフルエンザ脳症では、脳がダメージを受けるため急に呼吸が止まってしまうことがあります。

そのため、呼吸状態など生命の兆候をモニタリングし、24時間体制で管理しています。

呼吸の状態によっては、人工呼吸器を使うこともあります。

人工呼吸器を装着しているときは、眠った状態にすることが多いです。

豆知識!
集中治療室には色々な種類があるんですよ。
ICU(Intensive Care Unit):集中治療室
SCU(Stroke Care Unit):脳卒中集中治療室
NICU(Neonatal Intensive Care Unit):新生児集中治療室
PICU(Pediatric Intensive Care Unit):小児集中治療室

集中治療室は、医師や看護師が24時間体制で、患者さんの治療にあたります。

治療は一般的なものを紹介しています。

それぞれの状態によって変わるので、不安なことや分からないことは、担当の医師に聞いてくださいね。

不安を減らして安心して治療を受けることも、とても大切なことなんですよ。

予後や後遺症

インフルエンザ脳症の予後は、重症度や治療を始めるまでの早さによって大きく異なります。

早期に発見され、適切な治療が行われた場合は、後遺症なく回復する子どもが多いんですよ。

なので、よくあるインフルエンザだと甘く考えず、子どもの様子に変わりがないか目を離さずみておく必要があるんです。

一方で、脳のダメージが大きい場合には、後遺症が残ってしまうことが多いんです。

後遺症の例
  • けいれんが続く、てんかんを発症することがあります。
  • 言葉の遅れ、集中力の低下、学習面でのつまずき
  • 手足の動かしにくさ、歩きにくさ
  • 以前より怒りやすくなる、落ち着きがなくなる

あくまでも一例で、稀に命を落としてしまうこともあります。

これらの後遺症は、成長とリハビリ、周囲のサポートによって徐々に改善するケースも多く、退院後も小児科や専門医での継続的なフォローが重要です。

なによりも、早期に発見し治療を開始することが重要なんです。

インフルエンザ脳症は予防できるの!?命を守るためにできること

インフルエンザ脳症を完全に防ぐ方法はありませんが、リスクを下げるためにできることはあります。

まず大切なのは、インフルエンザにかからないことです。

ワクチン接種は重症化を防ぐ効果があり、脳症のリスクを下げると考えられています。

また、発熱時の対応も重要です。

高熱が続く、元気がない、呼びかけへの反応が鈍いなど、いつもと違う様子があれば早めに受診することも大切です。

家庭では、十分な水分補給と安静を心がけ、解熱剤は医師の指示に従って使用しましょう。

早期発見・早期対応が、インフルエンザ脳症から子どもの命と将来を守るポイントです。

まとめ

  • インフルエンザ脳症は免疫の暴走によって起こる脳の障害。
  • インフルエンザウイルスの主な症状は、高熱・けいれん・意識障害がある。
  • インフルエンザ脳症は、発症から数時間〜1日のあいだに急激に悪化することがある重篤な合併症。
  • 早期に発見され、適切な治療が行われた場合は、後遺症なく回復する子どもが多い。

インフルエンザ脳症は早期発見が重要です。

反応が鈍い、強い頭痛を訴えるなどの症状が見られたら、すぐに病院に相談しましょう。


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